【税務調査は30年前の約3分の1まで実施割合が減っている?】
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税務調査の平成元年の実施割合 8.5%
しかし、実施には資本金制度撤廃により最低300万円の資本金規模があった法人と、資本金1円の規模が乱立した最近の法人とを同じ条件で比較は出来ません。
平成元年頃の黒字法人の割合 約50%
平成28年の黒字法人の割合 36.4%
赤字が常態化する会社は、いずれ維持存続が難しくなります。
倒産した会社に税務調査がというのは、あまり現実的ではないでしょう。
つまり、調査の割合が下がったのではなく、会社全体のうち調査対象となる会社そのものが減ったという背景があるということになります。
【実査の税務調査の実施割合の確率論】
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1.法人の場合
税務調査は通常は3年分を、その3年分に問題があると判断されると追加2年、不正・仮装・隠蔽・悪質・高額等の場合にはさらに追加2年。
つまり、最大7年間の調査が税務当局の権限となります。
税務調査の平成26年の実施割合:3.2%
26年で約3分の1近くの税務調査の実施割合と表面上の割合では算定されます。
国税庁が発表している新設法人の倒産割合(2005年国税庁発表より)
3年以内倒産 70%
5年以内倒産 85%
5年後に維持存続できている法人は15%程度となります。
前提条件を調査対象を5年以上維持存続できる範囲内に限定すると、単年での割合は約20%(3.25%÷15%=21.666%)
つまり、維持存続できる法人の場合、5年間の調査割合は100%の確率(21.666%×5年間=108.333%)
5年の経営では、確率論では100%の税務調査となる。
一度の税務調査で最大7年間遡るため、単年の調査実施割合は100%
適正でない会計や税務の処理・不正等を行った年度の税務調査の確率論では、100%の確率で税務当局の目に触れるということになります。
2.個人の場合
税務調査の平成26年の実施割合:1.1%
中小企業白書が発表している個人事業主の廃業割合(2005年中業企業庁発表)
3年以内廃業 62.4%
5年以内廃業 74.4%
7年以内廃業 81.8%
10年以内廃業 88.4%
5年後存続できている個人事業主は25.6%、10年後に存続できている個人事業主は11.6%となります。
前提条件を調査対象を5年以上維持存続できる範囲内に限定すると、単年での割合は約4%(1.1%÷25.6%=4.296875%)
5年間の調査割合は20%(4.296875%×5年間=21.484375%)
10年間の調査割合は40%(4.296875%×10年間=42.96875%)
ギリギリ事業を存続できている個人事業主を除くと、さらに確率が上がることになる。
個人事業主で食べていける以上に収入のある方は、10年で50%以上の確率を覚悟した方が良い。
10年に50%の確率で最大7年分の調査が可能なため、50%×7年÷10年=35%
つまり、単年の調査実施割合は35%以上。
適正でない会計や税務の処理・不正等を行った年度の税務調査の確率論では、約3分の1の確率で税務当局の目に触れるということになります。
【追徴課税の可能性の統計】
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平成29年の税務調査の実施件数:3,764件
非違があった件数:2,776件(適法でないものが見つかった件数)
その内、不正計算の合った件数:829件
申告漏れの所得金額:265億3,300万円
申告漏れのうち、不正所得金額:170億1,600万円
非違発見割合:73.8%
不正発見割合:22%
追徴課税金額:54億5,600万円
(国税庁H.P 平成29事務年度における法人税等の調査実績の概要より)
不正を発見された会社1社あたり、約600万円の追徴課税を受けたことになります。